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デイサービスでの体操や機能訓練のメニューやプログラムって悩むことが多いですよね。
座った状態で大腿挙上や膝の屈伸などの筋力トレーニングなどもよく行われていると思います。
必要に応じて手首や足首におもりを付けて負荷をかけて行うこともあります。
平行棒で立位で脚挙げなども比較的安全に行えてよく使われる方法です。
ただ、それだけでは利用者さんが今どの程度の筋力があるのかイマイチわからんなーと思い、自分が負荷をかけてトレーニングできないかということで、この下肢の抵抗運動を始めてみました。
筋力を視覚的に測れるというものではないですが、自分の身体で負荷をかけて利用者さんに身体を動かしてもらうことによってどの程度の力があるのかや、筋力の向上や低下の具合もある程度体感して把握することで今後の訓練プログラム作成の参考の一つにもできますので、よく使っています。
画像、動画を交えてご紹介します。(動画は本記事下部に掲載しています。)
寝たまま楽々エクササイズ!!
大腿部抵抗トレーニング

A.抵抗に対して蹴り返す運動


①利用者さんは背臥位で寝ている態勢で股関節と膝を曲げてもらい、機能訓練指導員は足底(足裏)を把持します。
②指導員は水平に利用者さんの身体の方へ押すように足底から抵抗を加え、利用者さんにはその抵抗に 対抗するように膝と股関節を伸ばして蹴り返してもらいます。
私は左右各10回行っています。
大腿後面(ハムストリングス)のトレーニングになります。
ポイントとしては足底を把持する際、踵の方をしっかりと持つことです。
つま先に近い部分を把持して行うと、足首が曲がってクッションのようになってしまい、しっかりと下肢の力を把握できなくなります。
膝に痛みがあったり骨頭置換術を受けていて股関節の過度な動きを控えるよう医師から指示されている方などは、あまり深く曲げた態勢を取らないよう気を付けています。
B.下肢を伸ばした態勢から膝と股関節を曲げる運動


①利用者さんの膝、股関節を伸ばした状態で足首を把持します。
②利用者さんは膝と股関節を曲げ伸ばしします。利用者さんが曲げようとするときに伸ばす方向(青の矢印の方向)に引っ張るようにして負荷をかけます。
この運動も同様に左右各10回行います。
大腿四頭筋(大腿前面)の筋肉のトレーニングになります。
膝を伸ばす時に過伸展して膝関節を痛めないように、膝の下に手を添えておくことがポイントです。
C.膝を伸ばしたまま挙げた下肢を降ろす運動


①膝を伸ばしたままで足を挙げてもらいます。
完全に伸ばし切るよりも少しだけ曲げた態勢にしておくと膝の過伸展防止になります。
指導員は一方の手で踵を把持し、もう一方の手は膝の過伸展を防ぐために膝窩(膝裏)の辺りを軽く抑えておきます。
②利用者さんは膝を伸ばした状態のまま足を降ろします。
指導員は足を降ろさせないように抵抗を加えます。
この運動も同じく左右各10回行います。
大腿後面(ハムストリングス)のトレーニングになります。
D.膝を伸ばしたまま足を挙げる運動


①利用者さんはCの運動時と同じく膝を少し曲げた状態にします。
指導員は一方の手で足がドスンと落ちないように踵に手を添えておきます。
もう一方の手は膝蓋骨(膝のお皿)の少し上の辺りに当てておきます。
②利用者さんは膝は動かさずに少し曲げた状態のまま足を挙げていきます。
指導員は膝蓋骨の少し上に当てた手で足を挙げるのを妨げるように青色の矢印の方向に圧を加えます。
この運動も同じく左右各10回行います。
ただこの運動は下肢を挙上するので抵抗を加えなくても重力が抵抗の代わりをしてくれます。
利用者さんの下肢筋力によっては徒手抵抗は加えず、指導員は足を落とさない程度に手を添える程度にして下肢挙げを行ってもらうだけでもトレーニングになります
E.大腿内外側抵抗運動
内側


①利用者さんに両膝を立ててもらい、指導員は下の写真のような感じで腕をクロスさせて利用者さんの膝の内側に手のひらを当てます。
②指導員は利用者さんの足を開くように力を加え、利用者さんは足を閉じる動きをしてトレーニングします。

外側


①利用者さんの肢位は外側トレーニングと同じで膝を立ててもらいます。指導員は利用者さんの膝の外側に手を当てます。
②動きは外側と逆で利用者さんは足を開こうとする、指導員は足を閉じるように力を加えます。
内側、外側各10回ずつ行います。
余裕があれば2セット行っても良いと思います。
ヒップアップ運動


①利用者さんは背臥位(仰向け)で寝たまま両膝を立てます。
②お尻を挙げます。


抵抗運動ではないですが、背臥位でトレーニングしている流れで行っています。
立てた膝を少し開いた態勢と膝を閉じた態勢の2パターンを10回ずつ行います。
臀部(お尻)の筋肉のトレーニングですが、膝を閉じて行うと骨盤底筋のトレーニングにもなり、尿漏れや失禁対策にもなります。
この本で認知症の方の世界を理解するとともに機能訓練のアプローチも考えられます!
私のイチオシです!
こんな方に背臥位抵抗運動はおススメです

背臥位抵抗運動は
・下肢筋力が著しく低下している方
・膝に痛みを抱えている方
・立位保持が困難な方
に特にお勧めです。
下肢筋力が著しく低下している方

長期間入院していたり、自宅でほとんど横になっている、座っているという方も多いです。
下肢の筋力は付けるのは時間がかかりますが、落ちるのは本当に早いです。
そんな退院間もない方や自宅でこもりっきりで運動できていない筋力低下が著明な方の初期の機能訓練、トレーニングとして最適だと思います。
膝に痛みを抱えている方

膝を痛めている方は膝関節への負担をかけ過ぎない運動が求められます。
立位でスクワットをしたり、歩行したりするのは膝関節への負荷が強すぎます。
しかし、膝関節の痛みを軽減したり、保護するためには下肢の筋力の向上は必須です。
変形性膝関節症も大腿部の筋力の維持・向上が必要不可欠です。
膝関節へ負担をかけずに実施できるこの抵抗運動から始めてみる価値はあるでしょう。
立位保持が困難な方

立位保持が困難、不安定な方も当然運動、トレーニングしないと筋力は戻ってきません。
かと言って、立位で運動するのは危険です。
平行棒などでのトレーニングは立位の具合によって可能だと思いますが、安心はできません。
まずは座位や臥位姿勢での運動やトレーニングから始めるのが良いでしょう。
抵抗運動動画
最後に全体の流れを動画でご覧ください。
座ったまま安全に足の運動!!
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は背臥位での抵抗運動をご紹介しました。
マンツーマンなので少し時間はかかりますが、個々の筋力や状態を把握することはできます。
私はマッサージ、ストレッチと合わせて行っています。
片麻痺の方にも有効で、なかなか動かしづらい・筋力の低下が著しい患側のトレーニングとしても活用しています。
抵抗の強さを自在に変えて行えるので、個々に合った機能訓練、トレーニングになると思います。
機能訓練マッサージやストレッチに関してはこちらの記事でご紹介開いていますので、合わせてご参考ください。
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