記事内に広告があります。
平行棒を使う訓練と言えば歩行訓練が一番に思い浮かぶ方が多いと思います。
椅子や車椅子からの立ち上がりや段差昇降の練習でもよく使われるでしょう。
私はそれ以外でも下肢の筋力運動で平行棒を活用しています。
少々立位に不安定感がある利用者さんでもすぐに手が届く程度の位置で見守り、軽介助をしていれば安全に行えます。
こなせるようになれば利用者さんの自信にもつながる簡単な運動をご紹介します。
個別機能訓練教本も一冊あれば便利です♪
大腿部(太もも)

大腿(太もも)前面
太ももの前側の筋肉は主に股関節を曲げる、膝を伸ばすなどの運動に関与する筋肉です。
日常生活では歩いたり前にかがんだりする動作で使われます。


写真のように太ももを挙げる、膝を伸ばしたまま下肢を挙げる運動でトレーニングしています。
②の写真ではやや体幹が後傾していますが、体幹が後ろに傾いて代償運動が起こらないようにするのが理想です。
ただ高齢者の利用者さんなのでその辺りは各々の運動機能を観て指示しています。
身体が後ろに傾いてしまうという利用者さんには身体が後傾しないように背中に手を添えて止めてあげるのも一つの方法です。


スクワットも大腿前面の筋力トレーニングとして有効です。
スクワットの際も上体が後ろに反るような態勢にならないよう注意してください。
基本的には左右各10回ずつ行います。
大腿(太もも)後面
大腿前面とは反対の動きに関与する筋肉です。
股関節を伸ばす(下肢を後ろに蹴る)、膝を曲げるといった運動で働きます。


③の動きの際、②の動きと反対の動きですが、股関節が硬かったりすると代償運動で上半身が前傾(前に傾く)しがちになるので注意して観てあげましょう。
体はまっすぐのままで足だけを後方に蹴り上げるイメージです。
④は比較的簡単な動きで皆さん綺麗に上手に行われます。
余裕があれば写真のように90°曲げるのともう少し深く曲げるのと2種類実施してみても良いでしょう。
左右各10回ずつ行います。
この本で認知症の方の世界を理解するとともに機能訓練のアプローチも考えられます!
私のイチオシです!
下腿部(ふくらはぎ、すね)

下腿部前面(すね)
足関節(足首)の背屈の動きに大きく関与します。足関節背屈とは簡単に言うとつま先を挙げる動作です。
つま先が上がりにくくなって、つまづいて転倒するという高齢利用者さんが多いので私個人としてはこの「すね」の筋肉に重点を置いて機能訓練に取り組んでいます。
すり足、つまづき防止のために鍛えておきたい筋肉です。


つま先を挙げて降ろしてを繰り返すだけの運動で簡単です。
注意点としては、つま先を挙げた時に体が「く」の字にならないようにしましょう。
お尻を後ろに突き出すような態勢になる人がいますが、これでは「すね」のトレーニングにはなりません。
指導員がこのような代償運動の姿勢で手本を見せているのもちょくちょく見かけますが、「すね」の運動を目的とするのであれば身体が曲がらないよう気を付けてください。
これは左右各10回ずつを2セット行っています。
下腿部後面(ふくらはぎ)
つま先立ちをする時に強く作用します。
歩行時につま先で地面を蹴る動作にも強く関わるので日常生活においても重要な部位です。
そんなに強くはないですが、膝を曲げる動きにも作用します。


かかとを挙げて降ろしての運動です。
ここでも「ふくらはぎ」の運動を目的としていますので、かかとを挙げた際に膝を曲げる等の代償運動が起こらないよう注意しています。
「すね」同様左右各10回ずつを2セット行っています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
平行棒に両腕しっかりとつかまって行えば見守りだけで十分安全に行えます。
数人一組で平行棒に並んでもらい、同時に実施することも可能ですので業務も効率化できます。
これからも時間を有効に使いつつ安全に下肢の体操を行っていければと考えています。