認知症利用者の塗り絵の様子と3つの特徴~単一色傾向・色彩感覚低下・模倣不可~

認知症利用者塗り絵 脳トレ・体操

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デイサービスなどの高齢者施設で認知症利用者様にレクリエーション、リハビリ、機能訓練の一環として塗り絵を実施してもらうことが多いと思います。

ただ、「この絵を塗ってみてください」と塗り絵の用紙と色鉛筆を渡しただけでもある程度出来る人、全く何をしていいのか分からない人様々だと思います。

今回は私がデイサービス機能訓練で担当している利用者様のお一人を例にとって

・色彩感覚低下

・声掛けしないと単一色、同一色で塗りつぶしてしまう

・見本を渡して「これと同じように同じ色で塗ってみて」と声掛けしてもできない

これらの3つの傾向が強く出る様子をご紹介します。

声掛けして少しずつ色を複数使い始める様子なども動画でご紹介していますので、最後までお付き合い下さい。

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単一色で塗りつぶす

一色で塗りつぶされた塗り絵

Pさん80歳男性。

ADLはある程度維持されていますが、他人の言葉をオウム返しすることが多く、認知症状が進んでいます。

デイサービスで機能訓練として歩行訓練・階段昇降訓練などを行っていますが、それ以外はジーッと座っておられるだけなので塗り絵を2,3枚行ってもらっています。

塗る対象の絵が何なのかという認識ができなくて、何も言わずに塗り始めてもらうと手当たり次第に色鉛筆を1本手に取ってダーッと塗ってしまいます。

動画では比較的簡単な猫の塗り絵をお渡ししてみました。

「これを塗ってみましょう」とだけ言ってお渡ししたらピンク色の色鉛筆でササッと塗り始められました。

猫の顔の部分をだいたい塗れたところで横の花を塗り始めます。

色は同じピンクでひたすら塗り続けます。

結局私が声掛けするまでは、猫と花を交互にひたすらピンク色で塗り続けておられました。

以前にも1色しか使わずに塗りつぶしてしまうという利用者様もいらっしゃいましたが、その方は最初は綺麗に色を使い分けて塗り絵を楽しまれていました。

若年性アルツハイマーを患っていらっしゃったので段々進行するに連れて塗り絵の技術や集中力にも影響が出てきて最後は全く何をして良いのか分からないという状態までになってしまわれました。

塗り絵の際に、色使いも注意して観察する必要がありますね。

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色彩感覚低下

単一色で塗りつぶされた塗り絵
単一色で塗りつぶされた塗り絵

猫の絵の時はピンク色を選んでおられましたが、上の写真のように比較的暗い色をよく使われる傾向があります。

写真の塗り絵は両方とも女の子なのですが、黒や灰色で塗られています。

塗り絵の絵について「これは何の絵ですか?」と聞いても全く答えられることができません。

リンゴやバナナなどのよく目にする絵でも認識出来ないようです。

モノが認識できないので、使う色も全く違ったものになったり、同じような色になったりすることがほとんどになります。

今度は猫だけの絵を塗ってもらいました。

顔から背中にかけて勢いよく金色の色鉛筆で塗っていきます。

このままだとまた全て金色で塗りつぶしてしまいそうだったので、今回はお腹の部分の色を変えてみるよう声掛けしてみました。

「うんうん」と相槌は打たれますが、色を変える気配がなかったので違う色の色鉛筆を渡すと、渋々という感じで色鉛筆を持ち換えて塗り始めます。

ただ最初に塗っていた金色の色鉛筆も持ったままで放しません。

でもちょっと強制的な感じではありましたが、色を変えて塗ることができました。

複数色で塗った塗り絵
複数色で塗った塗り絵

ただ色を複数使えば良いというわけではないですが、少しずつ声掛けしなくても色を変えて塗ることができるようになってきました。

使う色はまだまだバラバラなので、もっと簡単な絵で見本を見ながら塗ってもらうことにしました。

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模倣不可(見本を見ても見本と同じように塗れない)

困った高齢男性

ということで、猫や人物よりも簡単なトマトの絵を見本を見ながら塗ってもらいました。

「この絵と同じように塗ってくださいね」と言って後は任せてみました。

見本の方もざっくりと実の部分は赤く、ヘタの部分は緑とシンプルに塗ったものを渡しました。

動画を観ていただければ分かりますが、実の部分は同じように赤く塗れましたが、ヘタの部分まで赤く塗りつぶしてしまわれました。

見本の方をよくみて同じように塗ってもらうよう何度か声掛けしてみましたが、「同じように塗るわ」と呟くだけでそれ以上は変化は観られませんでした。

見本の塗り絵と実際に塗ってもらった塗り絵

実の部分も端の方は色が変わってしまいました。

色を使い分けましょうと言い続けてきた成果が少し出たのか色を変えて仕上げてくださいましたが、見本と少しかけ離れた仕上がりになりました。

見本があっても、それを模倣するということも出来なくなってきているということです。

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まとめ

今回は認知症状が出現している利用者様の塗り絵をする時の特徴をご紹介しました。

症状の進行具合などで個人差はありますが、症状が進行するとこれらのような特徴が現れやすいのではないでしょうか。

・全て任せる

・色について声掛け、アドバイスする

・見本を渡して模倣して塗ってもらう

以上の3点を実施してみました。

声掛けをすれば色を複数使えたり、見本があれば少しは使う色を選定できるようにはなっています。

なかなか長時間マンツーマンで付いて声掛けできないですが、見本も上手に利用して使う色を考えたり、モノを認識できるようになって頂けるよう継続していきます。

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