高齢者慢性腰痛の利用者様へのマッサージアプローチ~下肢から腰背部に対しての施術~

腰を痛がる高齢女性 マッサージ

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慢性的な腰痛をお持ちの方は老若男女問わず多いです。

その中で明確に原因が分かっている方というのは非常に少ないです。

最近では、ストレスなど心因的な原因が腰の痛みやだるさを引き起こすという研究結果も出ています。

内臓の疾患が腰痛のもとになることもあるので、腰の痛みが長引いたり、段々ひどくなるということがあれば早めに病院受診することをお勧めします。

今回ご紹介するマッサージの対象の方は内臓疾患やヘルニアなどの診断はなく、長年の畑仕事などからくる筋疲労が腰のだるさや痛みを引き起こしていると考えられます。

なので、デイサービスでのサービスの一環として行った腰への徒手療法の様子を動画・画像を交えてご紹介します。

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利用者様の状況

利用者Qさん

Qさん88歳女性。  若いころから畑仕事をしてきたせいか、慢性的に腰痛を抱えておられます。

内的な疾患はありませんが、認知力低下が観られ、特に近時記憶力の低下が顕著に観られます。

最近は散歩にも畑にも出ず、運動不足も懸念されます。

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下肢へのアプローチ

足マッサージ

腰に痛みやだるさがあるから腰をマッサージしておけば良いと思われる方も多いと思います。

ですが、実際は痛みやだるさを感じるところだけにアプローチするだけでは症状が緩和しないケースが多いです。

関連痛と言って、実際に悪い部位から離れた部位に痛みやだるさを感じることもあります。

でも、なかなか一般の方には理解が難しいですよね。

実際、整骨院で勤務していたときも急性腰痛(俗に言うギックリ腰)で来院された患者さんに説明して理解してもらうのは大変でした。

特に急性腰痛で寝がえりもできないほどの痛みや熱感が腰部にあるのに、腰部に対してストレッチやマッサージ的な徒手療法なんかできません。(中にはそういった施術を行う先生もいらっしゃるようですが)

基本的に私はそういった場合は患部はアイシングして安静にしてもらいます。

その間に下肢から臀部(お尻)を軽く軽擦・揉捏法などの手技で筋緊張を和らげます。

腰を痛めたりすると、自然と腰の筋肉をかばって下肢や臀部の筋肉が普段以上に頑張ってくれます。

なので、下肢や臀部の筋肉にも負担がかかって疲労している場合が多いのです。

そういった説明をしても「おれは腰が痛いから腰を何とかしてくれ」と言って聞かない方もチラホラいらっしゃいました。

気持ちは分からんでもないんですけどね。

ということで、長い間酷使し続けたことが原因であろう腰痛に対しても下肢へのアプローチから始めます。

下肢への軽擦法

下肢軽擦法
下肢軽擦法

私も10年使っています。肩や背中も自分でお手軽マッサージ!

軽擦法とは

筋肉の走行に沿って求心性(心臓から遠い方から心臓に向かって)に少し圧をかけて摩る手法を言います。

筋肉の張り具合を確認する方法としても用いられます。

血液やリンパの流れを促進させる効果も期待できます。

手のひら全体や手根、4本の指など軽擦を行う部位によって施術者の使う手の部位も変えたりします。

手根部

私は、下腿(ふくらはぎ)から膝裏にかけてまでは手掌(手のひら)全体大腿部は手根部で軽擦を行います。

大きくて厚い筋肉は少し圧をかけて摩りたいので、大腿部や臀部などの部位は手根に少し体重をかけながら軽擦を行います。

下腿部はそれほど大きく厚い筋肉ではないので、いきなり手根で圧をかけると痛みを伴うことがあるので手のひら全体で摩っています。

大腿部圧迫法

大腿部圧迫法
大腿部圧迫法

圧迫はまずは手根で全体の広い範囲から行います。

5秒ほどかけてじわ~っと筋肉を圧迫してゆっくり離します。

筋肉や神経を圧迫することによって痛みを緩和させる効果が期待できます。

今回は腰部がメインなので、下肢は軽擦と手根での圧迫だけを行っています。

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臀部へのアプローチ

臀部押圧手根

臀部へのアプローチも下肢同様まずは軽擦から入ります。

それから手根圧迫も行い、臀部筋全体の緊張具合などを観ます。

中殿筋部の筋緊張が強く感じられましたので、拇指での圧迫法も加えました。

臀部押圧拇指

筋全体ではなく局所的に圧迫して効かせたい場合は拇指(親指)を使います。

拇指を局部に垂直に当てて、体重をかけて圧迫します。

また、臀部の筋緊張の緩和は腰痛改善に強く関わることが多いので、必要に応じて揉捏法も取り入れます。

揉捏法とは

凝り固まった筋肉をこねるように揉みほぐす手法です。

体重をかけて筋肉の流れに沿ってゆっくりと移動させます。

新陳代謝を促進して疲労物質を取り除く効果が期待できます。

マッサージで一般的によく使われる手法です。

臀部揉捏
臀部揉捏

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腰背部へのアプローチ

腰方形筋揉捏

腰部へのアプローチも手根での圧迫や拇指圧迫、揉捏を中心に行っています。

脊柱起立筋などの浅層筋の他、腰方形筋部の緊張なども痛みやだるさの原因に繋がります。

なので、側面からのアプローチも重要になってきます。

腰方形筋とは

腰方形筋イラスト

腰方形筋(ようほうけいきん)は、腹部の筋肉のうち、腹腔後壁を形作る後腹筋である。ほぼ長方形の形状であり、腰椎の両外側に存在し下位腰椎突起、腸骨稜および腸腰靱帯を起始とし、上方に向かって走り、第12肋骨に付着する。

腰椎を作用側に屈する作用がある。

参考元:wikipedia

仙腸関節軽擦
仙腸関節も軽擦で軽く緩めます。
腰部手根圧迫
腰部全体を手根で圧迫
腰部拇指圧迫
起立筋群を拇指で圧迫・揉捏
腰方形筋揉捏
腰方形筋部を拇指で揉捏

88歳と高齢の方なので圧迫や揉捏は圧を加えすぎないよう注意します。

腰が調子の良いときは、肩周りのマッサージを希望されるので肩も施術しますが、肩はもっと軽めの圧で行っています。

今は真夏なので控えておられるようですが、畑での草むしりなども気候が良いときはしておられます。

完全にしゃがみこむことができないので、どうしても中腰の態勢をとることが多いということでその辺りの対策も必要です。

低めの椅子に座って行うなどの対策を提案しています。

「今日は腰がだるいから今日のマッサージが腰にしてほしい」と言われて1,2回施術すると症状は落ち着いくようで、また肩への施術を希望されます。

腰に違和感が出る時はほとんど畑に出る時でしたが、今回のようにほとんど外出せず運動する機会が少なくなっても症状が出てきているので自宅でも簡単な体操など、身体を動かす必要がありますね。

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まとめ

いかがでしたでしょうか?

今回のケースでは内臓疾患の診断もなく、腰椎椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などの症状もない慢性的な腰の重だるさということでした。

なので、大腿部から腰背部の筋緊張の緩和によってリラックス、症状の軽減を図りました。

年齢的にも強い刺激より軽擦中心の血行を促す手技メインで行っていますので、身体への負担も小さくリラックスして受けていただきました。

腰痛に対してだけではありませんが、原因によって治療法や施術が変わってきますので、安易にマッサージなどをせず、病院受診するなどして医師の診断を仰ぎましょう。

マッサージや整骨院に関してはこちらの記事でもご紹介していますので、合わせてご参考ください。

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